シンガーソングライターとは、音楽を作詞作曲して自分で歌うひと。自己表現の芸術だと思う

 シンガーソングライターとは、音楽を作曲作詞をして自身で歌うひと。矢野顕子さんや米津玄師さんなど有名人から事務所に所属しない人まで多く幅広い。

 そんなシンガーソングライターでも女子大生など若い女性シンガーを応援する年増の男性のことを音楽ファンのなかでは「シンガーソングライターおじさん」と呼ぶらしい。

 実際に呼ばれた事も呼んだ事もないので実感はないが、おじさんが若い子を追いかけて応援するのはハタから見たら異常にうつるから蔑称だろう。

 アイドルファンのように思われているのかも知れない。


 私も夢中になった人がいる。

 平日、仕事上がりに猛ダッシュで埼玉から東京に駆けつけて彼女の歌を聞きに行った。

 客は確かに年増の男性が多かったので、若い女性の感想がききたくて会社の人を誘い、感想を聞いた事もあった。


 行きは彼女に会えると思うと幸せで、帰り道も今日も良かったと幸せだった。

 他人からは、それはそれは異常に映った事だろう。

 もしかして社内では今も伝説になっているかも知れない。

 それほどシンガーソングライターの魅力は凄まじい。


 先に、世間ではアイドルファンのように思われているだろう、と言ったけれども細かい部分は違う。

 アイドルは衣装や個性など “アイドルをしている” 方が多く、ファンも半分本気でアーティストを応援して、半分は “アイドルのファンをしている” 印象がある。

 そのバランスが絶妙で、ステージのアイドルに「好きだ」と大声で叫んだり他のファンと一緒に踊って応援する姿は感動する。嫉妬するくらい純粋だ。

 アーティストとファンの関係はプロレスと似ていると思う。


 対してシンガーソングライターはセルフプロデュースなので音楽から演奏、衣装まですべてに本人の意思がある。自己表現の芸術だ。

 だから「彼女の音楽が好き」だったのがいつの間にか「彼女が好き」になりやすい。

 普段なら話す機会もない年の離れた人とも、演者と客としてなら出会う事が出来る。音楽という共通の話題で会話が成立する。

 「ココが良かったです」とか

 「あの曲はアレの様だった」とか……世代や国を簡単に超えられる音楽は素晴らしい。

 ゆえに話があう、趣味があう、よろこんでくれる等で魅了されることもあるだろう。


 もちろんファンの中には音楽通で、大相撲を序二段あたりから見て力士の将来を予想するかのような玄人もいるけれども、若い女性と友達になって親身になりたいという下心が溢れ出している方もいる。

 きっとフェスかなにかで、シンガーソングライターをあまり見ない音楽ファンが、ソレを感じとられて「シンガーソングライターおじさん」と呼ばれたのだろう。

 ファンとの関係はキャバクラに似ていると思う。

 それでもベテランのシンガーソングライターとファンになると絶妙の信頼感と距離感ができてスナックやパブに似てくるのだが。


 金子麻友美さんは以前はシンガーソングライターだった。それはもう衝撃の音楽と人間性だった。

 今は音楽家として依頼されたテーマに対して、これぞプロというものを見せてくれている。仕事は順調のようで、作曲作詞のほかにも本人が歌ったり幅が広がり、いったい何時休んでいるのか心配になるくらいだ。


 その次々に発表される作品を聞いて熟考すること、それが今の楽しみだ。

 金子麻友美さんの目指す音楽とは何だろうと思うときがある。

 ご本人の作品の『作り続ける』という歌は答えのひとつだろうけど、それ以外にも信条というか何かがあるような気がする。

 作品を聞き続けて、何かを見つけたような気がしては次の日には違う見解を出す。



 登山家が、なぜ山に登るのかと聞かれて「そこに山があるから」と答えたように、なぜ金子麻友美さんの作品を聞くのかと問われたら、こう答えるだろう「そこに金子麻友美さんがあるから」



 「このフレーズは金子さんらしい」とか「今までの作品にない表現だ」とか

そうこう言ってる私はシンガーソングライターおじさん。


 ”おじさん” というだけで哀愁なのにプラス ”シンガーソングライター”、それも作るではなく聞く専門。哀愁を越えた闇があふれている。

 金子麻友美さんはイヤミが感じられない、すばらしい美しい人。そんな人の前には闇の人はひれ伏してしまうのかもしれない。

かわいい金子麻友美

『かわいい金子麻友美』は、音楽家・金子麻友美さんのファンによる同人誌です。