「かわいい金子麻友美」ネタ1
タイトル「私たちは話していた(金子麻友美さんのことを)」
「いや〜、今日もありがとうございました。とても良かったです。すごい良かった。」
素直な感想を伝える。酒も入ってじょう舌だ。
「こちらこそ、いつもいつも観に来ていただいて、ありがとうございます。」
ゆっくりと数回、会釈をしながら笑顔で答える。
演奏時間の40分は一瞬だ。
もっと聞きたい、観ていたいという気持ちと、今日も最高だったという満足感、高揚感で胸がいっぱいになる。こんな感情をひとり抱えて黙って帰る事はできない。本人に想いを伝えたい。演奏後にCDを買いながら話しかける。
家には同じCDが何枚もある。だけど何も買わずに話しかける事はできない。
お話をするためなら安い。サインも書いてくれるので何枚あっても足りないくらいだ。
演奏中の緊張感と、おっとりしたMCトーク、そして演奏後のドヤ感。どれも素敵だ。
笑顔は壁紙どころか彫刻にして人類が滅亡しても地球に残したいくらい最高だ。
「それじゃあ、また見に来ます。ありがとうございました。」
外に出ると他の店は閉まっており、静まり返った町の街灯は眩しかった。
その風景は覚えている。
だけど話していた内容が殆ど思い出せない。
質問をすれば必ず答えてくれる。素早く正確に、丁寧に答えてくれる。
中身のひと言ひと言は思い出せない。
また会える。次も、その次も会える。
終わりは今ではない。と余裕こいて時間を疎かにしていた罪だ。
演奏時間と同じ、終わりと言われたら客は従うのみだ。
私はファンではない。ファンは勝手に名前を借りて物を売らない。
でも作品は聞いていたい。みじめな狂気と、次々と発表される作品を記録に残すことにした。
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