「かわいい金子麻友美」メモ9 『Over』でない話
over…上に、〜を覆って、を超えて、終わって、繰り返して
女性アイドルグループ「ばってん少女隊」に提供された本作品は、メンバーそれぞれメロディが分かれていて、それが集まり重なってひとつの歌になっています。
演奏もメンバー全員が主役だ、と言っているかのように楽器の音数は控えめに手拍子と足踏みでリズムをとっています。そんな中、let's sing along (一緒に歌おう) と誘われるので、きっとライブ会場で聞いたら私も一緒に手拍子をして歌って楽しいと思います。
歌詞では、想いが届いて欲しいと言います。
メンバーとグループの成長を願っているようです。その想いにかける熱量は静かに熱く、派手な言い回しがないぶん真摯で、聴いている側にじんわりと伝わってきます。
まるで生姜料理か良質な温泉のような、いちど熱くなったらなかなか冷めないやつです。
また熱いばかりでなく周りを冷静に見ていて「一緒にみた景色は、一緒じゃないかも知れない」と言います。
たしかに個人で感じ方や解釈は違うものでしょうが、前をみて進んでいる最中は気づき難いものでしょう。そこまで冷静に周りを見なければグループが成長していく事は難しいと分かっているなら、いったいどれだけの経験、修羅場をくぐってきたのでしょうか。
曲名のoverを辞書でひくと、色々な言葉がみれますがが”何かが上にある” イメージのようです。
グループが今よりも有名になって社会的な地位を上げるため、今日より明日へと常に何かに努力しよう、という事なのでしょうか。
またまた今は大勢のひとが集って楽しむことは簡単にできない閉塞感に覆われていますが、それを乗り越えてグループ活動を続けていこう、という想いかも知れません。
もっと妄想すると、グループの想いの他に金子麻友美さんの想いも見えそうです。
グループへ、今までと同じようにアイドル活動することは難しいけれども、みんなが成長できる時間を得たと前向きに捉えて欲しいという願いと、聴者へ、いつか閉塞感が終わってライブで会えたら一緒に歌って楽しんで欲しいので、それまでにボディーパーカッションのリズムを覚えるように、とエールを込められているように感じます。
とにかく元気で熱い、美しい作品です。
(終)
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