「かわいい金子麻友美」メモ10 マユミタン-妄想4-
*注意*
本品には、金子麻友美さんに関する事も作品の事も書かれてません。
失礼だと、不快に思う方もおられる方もおられると思います。
先にお詫びします。
金子麻友美さんの作る作品は前向きで美しいです。ただ底知れない美しさに思考がショートして分からなくなる時があります。そんなおとぎ話です。
金子麻友美さんは、かわいい。
写真を見ているだけでドキドキする。
作曲も作詞も、聞けば良い作品と分かるけれども、どうすればこんなに美しいものが生み出せるのか想像できない。音楽の天才とはこういう人のことなのだろう。
インターネットで過去の作品を調べると、ご本人のホームページがあり映画やアニメ、アイドルなどに多くの作品を提供している事がわかった。
そこにはご本人の写真が掲載されていて、黄色いワンピースを着た笑顔の姿がみられた。その姿は気品に満ちていて物腰の柔らかそうな雰囲気がする。作品の多彩さから博識な学者のような印象を持っていたが、芸術家のようで作品とのギャップがかわいい、と思えた。
その髪、その姿、金子麻友美さんはかわいい。
かわいい金子麻友美さん、かわいい麻友美さん、まゆみさん、まゆみたん……何度もつぶやいていたら自分はいったい何を言っているのか分からなくなってきた。
まゆみたんって何だ?
マユミタン……中華料理の名前だろうか。
「マ」は漢字で書くと麻だ。麻婆豆腐(マーボードウフ)とか山椒が入ってスパイシーなのだろう。
「ユ」は魚(ユィ)か。
「ミ」なんだろう?米(ミー)は米粉(ビーフン)が使われているのか。
「タン」は湯だ。白湯(パイタン)とかスープ料理だという事だ。
料理は『麻魚米湯』だ。
そうと分かれば、この料理は自分が作らなくてはならないような気がしてきた。自分こそがマユミタンの伝道師、マユミタンの素晴らしさを世に広めなければならない。
「食材を集めよう」
男は部屋を飛び出した。
走りながら「山椒、魚、米、スープ、マユミタン!」息を吸って吐くテンポで運動部員のように声をだして走る。
「さんしょ、さかな、こめ、すーぷ、まゆみたん」
「まゆみたん」(まゆみたん!)
「まゆみたん」(まゆみたん!)
「いちにさんし、にいにさんし」
「さんしょ、さかな、こめ、すーぷ…」
走って走って、走り続けていると自分はなぜ走っているのか分からなくなってきた。
まゆみたんって、いったい何だ?
まゆみたん、まゆみさん、麻友美さん…ハッ!!
気がつくと夜の河川敷に一人で立っていた。辺りを見渡したが知らない場所だ。
携帯を見ると家からだいぶ離れていたので驚いた。10キロはある。こんな遠くまで走っていたと思うと急に足が重たくなってきた。
近くにベンチを見つけたので座る。
夏は終わり心地いい風が吹いてきた。
息が整ってくるまでに人や車など自分以外の誰とも会う事はなかった。ひとり歩いて帰るしかない、と立ち上がった時、誰かの気配を感じた。
気配の方に振り返って驚いた。そこには夢にまで見た金子麻友美さんが立っているではないか。
「まゆみ…たん」思わず呟いた。
だが、彼女はツイッターでみた天使の笑顔ではなくひどく怯えた表情をしている。
いかんいかん。これは初対面の挨拶ではない。いそいで訂正しなくては。
「いえ!すみません。初めてお会いします。自分は金子麻友美さんの大ファンの者でして、まさかお会いできるなんて、あ、あの、いつも作品聴いています!」
緊張して声が大きくなってしまった。彼女は怯えた表情のままだ。
「あ、あのスミマセン。急に声をかけてしまいましたが決して怪しい者では無いんです。ホント偶然で、まさか、おられるなんて知らなかったんです。大ファンですけど最近知ったばかりでして……」
誤解を解こうと思えば思うほどに言い訳をしているようで焦ってしまう。最悪のスパイラルだ。
「……そ、それで私は家では麻友美たん、なんて呼んでいますけど、それはですね、つまりですよ、決してそう言う意味で申した訳ではないとですね、私はハッキリと申したいのでありまして……ハッ」
気がつくと一人で立っていた。
目の前には看板があり、そこには怯えた女性のイラストと大きな文字で “川に近寄るなキケン!” と書かれていた。
どうやら、だいぶ疲れているようだ。そういえば最近は家に帰れば音楽をききながら気絶するように寝る毎日だった。とにかく家に帰ろう、河川敷を歩きだす。
(終)
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